ベースアンプ、ギターアンプの使いこなしのノウハウ その3
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アンプを床に置くとき、ぐらぐらしないよう、しっかりと置くこと。
ぐらぐらする座りの悪い状態だと、ボワーとした情けない音になります。
また、床についても、なるべく頑丈な固い床を選んでください。
板張りの床に大理石の床が続いていたら、迷わず大理石の上にアンプを載せてください。
なぜぐらぐらしていると、いい音が出ないか、その理由を説明します。
アンプのスピーカーから音が出てくるわけですが、スピーカーの振動板(コーン紙とよんでいます。)が動くとき、「作用、反作用の法則」がはたらきます。
振動板が前に動くとき、その反対向きの力が振動板を支えているフレームにかかります。フレームとフレームが接合されているアンプの箱全体が後ろ向きに動こうとします。
ぐらぐらしている状態だと、ほんとうにおおきく動きます。
アンプ全体がうしろむきにうごくわけですから、肝心の振動板もいっしょにうしろにうごきます。
前向きに動きながら、同時に後ろ向きにうごくのですから当然、正確な振動、正確な音にはなりません。
理想的にはアンプが、その置いてある床・建物と一体化することが必要です。
フレームを後ろ向きに動かそうとする力が建物全体を動かそうとすると、建物は(ほとんど)動かず、振動板のみが動きます。
そのときはじめて、理屈どおりの音が空中に出てきます。
より理想の状態に近づけるためには、頑丈な床におくだけではじゅうぶんではありません。
おおきな障害があります。アンプの底に取り付けられているゴム足です。
ゴムとは限らず、なにかプラスチックのときも多いです。
まったいらでない床のときでも4点で接地するように、やわらかい材質でできています。
これが音質をおおきく損ないます。
アンプがゴム足を経ずに床とつながるように、なにか堅いものをおいてください。
おすすめするものは、東急ハンズの木材売り場にあります。
1個税込み105円の「黒檀サイコロ30ミリ角」を4個購入してください。
これをアンプの底に、ゴム足の位置を避けて置いてください。
床が平らでないときは3個です。
音質がこれでかなり改善されます。
なお、ちいさな4個のサイコロを置くのが、急いでいるときには無理だという場合、
2本の角材を置くのが簡単で楽です。
同じく東急ハンズで30ミリ角の黒檀の角材を買って下さい。とても敏速に設置できます。。
アンプの底がつるつるしていて、滑りやすい場合があります。そのときはサイコロに
滑り止めテープを貼ってください。ただし、ゴム系のではなく堅いざらざらの滑り止めテープ
(たとえば すべり防止テープ 50ミリ幅3メートル ニトムズ社 1500円 1巻き)にしてください。
この滑り止めテープを貼るとわずかですが音質は落ちます。しかしアンプを置く床が傾いているときには
とても有効です。
小型アンプを椅子やテーブルの上に置いて使う場合はたいへん多いとおもいます。
そのとき、床置きにくらべて音質はかなり劣化します。
いすがふかふかだったりすると最悪です。
手軽な方法は限られています。最も簡便なものを紹介します。
“アンプをその上に置くと音の良くなる板“の作り方
まず、アンプが載る大きさの板を用意します。すこし大きめにしてください。
材質は、安価なラワン合板でけっこうです。18ミリがほどよい厚みです。
なるべく、目のつまった、重いめで、ソリの少ないものにしてください。
そげが刺さりにくいように、切り口をきれいに切断する必要があります。
切断面をエポキシ樹脂で固めてしまうと安全です。
板の片面、つまり上面になり、アンプの足がのる面に、薄い鉛板を貼ります。
厚さ1ミリのものを、全面に均一に、接着してください。
使用する接着剤は、セメダイン株式会社の”スーパーエックス”(20ml入り400円ぐらいを2本あるいは3本)をおすすめします。
もしこれが入手困難なら、ごく一般的な合成ゴム系接着材(たとえばコニシ(株)の“ボンドG17”170ml入り)を使って下さい。
市販されている鉛板は、東急ハンズの場合30cm幅です。ひと続きの1枚でなくても、つないで貼っても差し支えありません。
鉛板は案外高価です。また、重いものはいやだと言う方は0.5ミリ厚でもかまいません。
効き目は1ミリ厚より劣りますが、かなり軽いものに仕上がります。
0.5ミリ厚の場合、接着剤ではなく、薄い両面テープでも貼り付けることができます。
鉛は手に付きやすく、有毒でもあります。
そのため、鉛の表面になにか薄いものを貼ってください。厚いと音質に影響が出ます。
台所用品として売っている壁紙(プラスチックフイルムやアルミ箔でできている)が最適です。
面倒なら、無しでも機能上差し支えありません。
これで、完成です。 つまり、ただ単に、鉛を貼った板というわけです。
ふかふかの椅子の上にこの板を載せ、その上にアンプを置いて試聴してみてください。
いままでとは違ってクリアーな音になることがわかります。
椅子の上でなく床に置く場合でも、柔らかい板張りの床のときには使ってください。
低音の出かたが大きく変わります。 「サイコロ」も併用すればさらにいいです。
アンプが軽量であれば大きな効果が得られますが、大きな重いアンプの場合は、相対的に効果は小さくなります。
これは、小型のギャリアンクルーガーのクラスに最適な方法です。
もし、もっと大きい効果が必要なときには、そう言っていただければ、異なった原理による本格的なものの作り方をお教えします。
もちろん、作るには、お金、てまひま、ともかかりますが他の方法では得られない音質を味わえます。
小型アンプを傾けて使う場合について
アンプを床に置いたとき、スピーカー面をやや上向きになるように傾けて、聞き易くして使うときがあります。
そのとき、問題になるのは、上を向かせるためにアンプの下に置くものです。
その材質によっては、かなり音質を損ないます。
そこらへんにある、雑誌やマンガ本を積み上げて使う人が多いようです。
それではダメです。
なにか固いものにしてください。固い目の木のブロックを用意してください。
黒檀のおおきな固まりはたいへん高価です。他の木材でいいです。