ベースアンプ、ギターアンプの使いこなしのノウハウ その1
Ver.0.90
アンプを使用する際、その電源スイッチは、なるべく早くONにしておいてください。
アンプは電源を入れてすぐだと、汚い音しか出ません。
2時間ぐらいたって、やっと電気回路が安定してきて、いい音になります。
ライブの際、休憩時間になってアンプのスイッチを切る光景はよく見られることです。
これは間違っています。せっかくいい音になってきたのに、わざわざまた悪くしてしまいます。
こまめに電源を切ることは、音質のためには良くありません。
どうかつけっぱなしにしてください。
デジタルリバーブ等のデジタル回路内蔵のエフェクターやコンピュータ、サンプラー、調光器付き白熱電灯は強烈なノイズ発生源です。
アンプの電源はできれば、それらから離れたコンセントから取ってください。
できることなら、共演者とは同じテーブルタップを使わないようにしてください。
アンプの電源コードは、なるべくなら延長コードを使わず、直接、壁のコンセントに挿してください。 といっても実際には、そういうわけにはいかない場合がほとんどだと思います。
延長コードは、ほどよく太いコード、つまり電線の断面積が2ミリスクエア(“にすけ“と電線屋さんではよびます。)のものにしてください。それより細いものでは、低音がまともに出ません。また、それより太いもの(3.5ミリスクエア)では、太すぎて取り扱いがたいへんです。
市販されているテーブルタップの多くは1.25スケの太さです。間違わずに2スケのものをさがして購入してください。差は音の違いとなってはっきりあらわれます。
家庭用のテーブルタップとして販売されているもので、安心してつかえそうなものをあげると、松下電工の、WH2754BP という型番の製品があります。
長さ5m、4個口の仕様です。ただし、電線の太さは、2スケではありません。2スケよりやや細い中途半端な規格で、正式には未公表、という変なことになっているのですが、それでも、総合的に判断すると、これが無難です。
なお、家庭向けのテーブルタップは、どうしても、もともと痛みやすいので、こまめに新品に買い換えることが必要です。
重量が増えてもいい場合には、もう少し丈夫なオフィス用テーブルタップが使えます。
型番でいえば、松下電工のWH2471BPKがおすすめですです。しかしすでに廃品種になり、次の同等品はやや品質が落ちます。価格は安価になりました。 もっといいものを現在さがしています。
同等品の型番は WCH2354H (5m、グレーのタイプ 日本橋で2079円で購入しました。)
ちなみに、パソコン用として販売されているテーブルタップをつかうのは、要注意です。
というのは、販売されているものには、台湾製、中国製の安価なものが多く、それらは、接点のバネ材の品質がたいへん劣ります。
また、ノイズフィルター内蔵となっているものは、そのせいで、音質が落ちてしまいます。
ノイズだけを取り去り他の性能はそのまま、という理想的特性ではないわけです。
また、電工ドラムとよばれる、リールに巻かれた電源コードについても注意が必要です。一見、太いコードに見えても、中身の電線は細い、1.25スケの太さというタイプが多いのです。
電線の被覆にほんとうの太さが印刷されているので、それを見て確認してください。
アンプの電源コードが着脱式のとき(たとえばギャリアンクルーガーやピーターソンのアンプがそうです。)は、太いコードに交換することで、大きく音質改善ができます。
これは 入手は難しいので、筆者のルートで斡旋します。
電線メーカーのカタログには載っていませんし、電線製造会社にじかに注文しても個人向けには販売を断ってくるのです。(経験ずみ(^_^;))
値段自体は安価です。1500円から2500円ぐらい。入手のつど現物がかわります。
本当は、より楽器向きのものを自分で大量に特注したいのですが、残念なことにそれほど需要がありません。
高級オーディオ用の電源コードを流用するという方法もありますが、コストがかかりすぎますから得策ではありません。1本で3万円から50万円(誤植ではありません本当です!)しますし、頑丈でないものが多いですから。
わたしの斡旋する安価なものでも大きな効果があります。
電源用の電線の太さについて簡単にまとめておきます。
重要なのは、銅線自体の太さです。電線の外装のではありません。
見かけだけが太くてもだめです。
銅線の太さは断面積で表示されます。平方ミリメートルです。
mm2と書いてあったり、そのかわりの四角いマークがついていたりします。
「スケ」とカタカナで書いてあるものも見たことがあります。
2.0とだけ数値で書いてあるときもあります。
まったくなにも書いていない場合もあります。
書いていないときプラグつきコードなら、プラグ部分を見てください。プラグに
たとえば125V12Aと書いてあれば、1.25スケ、125V15Aと書いて
あれば2スケです。(例外もありますが。)
AC電源に使われるのは、0.75,1.25,2.0の3段階が一般的です。
アメリカの規格ではAWGという単位です。
18AWGが0.75
16AWGが1.25
14AWGが2.0平方ミリメートルに相当します。
市販されているアンプの購入時のコードは、たいてい一番細い0.75です。
なお、延長コードを自作する場合には、屋外でよく使われるゴムキャプタイヤケーブルは音質が極端に落ちるので避けてください。(銅線にメッキを施してありそれが音質を損なう原因です。)
ビニルキャプタイヤケーブルが入手容易で安価です。
プラグ類は、その接点部分をときおり清掃する必要があります。
プラグにタバコのやにがつくとかなり音質が損なわれます。(ノイズののりにくさは、あまり変化しないと思います。)
演奏場所にはタバコのやにが付きやすそうなところが多いですから、週1回は、クリーニングしてください。
プラグの接点部分に吹きかけ、やわらかい布でこすってください。布に吹きかけておいてぬぐってもいいです。
ジャックの洗い方は、なかなか難しいのですが、プラグに多い目に吹きかけておいて、抜き差しすればまあまあきれいになりますから、それくらいでもいいと思います。 あとでプラグ側を洗浄しなおしてください。
ACアダプターのプラグ(AC側もDC側も。とくにDC側)も同様にきれいにしてください。
つまり、きれいにする優先順位は、 たくさんの機材をつかっている方の場合、
1. シールドのプラグ、ジャック、スピーカコードのプラグ、ジャック
2. ACアダプターの直流側プラグ、それがささるエフェクターの電源ジャック
3. テーブルタップのプラグ
4. ACアダプターの交流側プラグ、それがささるテーブルタップのジャック
となります。
安価な燃料用アルコールでも十分な効果があります。薬局で500ml入り300円ぐらいです。ただし、燃えやすい性質ですから、火の気に気をつけてください。
電子パーツ店へ行く機会があれば1500円の接点清掃剤を買ってください。燃えない性質のものなので、安全です。
(サンハヤト(株) リレークリーナー RC-226)
この銘柄は、性能本位で指定したわけではなく、入手の容易なものをえらびました。
クリーナーの性能自体より、演奏直前にクリーニングすることのほうが重要です。
ただし、まちがって接点復活剤を買わないでください。接点部分に薬品が残るので、ほこりやゴミが付きやすくなり、演奏現場での使用に適しません。
このRC-226だと、清掃時に残留物はありません。
接点洗浄用のスプレーの使い方についてですが、
スプレーの成分と、コネクタ類に使われているプラスチックの材質の組み合わせによっては、プラスチックが変質することがあります。
接点洗浄剤の主成分は、メーカーによって異なり、たとえ同じ製品でも知らない間に変更されていたりします。
プラグにつかわれているプラスチックも同様に、材質がいつも同じとは限りません。
いままで大丈夫だったからといって、これからもいつも大丈夫だとは言えないわけです。
だから、危険を避けるため、ふだんからプラスチック部分には、スプレーの液がかからないように習慣をつけておいてください。
それから、
雑誌に掲載されている記事のうち、電気関係のもの、たとえば、シールド・ケーブルの解説やエレキ・ギターの改造方法などは、うのみにしないでください。信用してはいけません。
リペア関係の単行本でも、電気関係は、でたらめなドシロートまるだしのことをかいてあります。
なによりもご自分の耳を信じてください。
プロのリペアマンと称している人間が書いているものでも、読むに耐えない、子供だましの、人をバカにしたような内容がほとんどです。
電気楽器や電気楽器を使った音楽を真摯にとらえていないに違いありません。