2013年3月13日水曜日


  アコースティック楽器の高音質演奏のノウハウ
                                                                   Ver.0.62
 イスに腰をかけて演奏する場合

 ギターやリュート、バロック・チェロやビオラ・ダ・ガンバなど、
すわって演奏する楽器は数多くあります。
 声楽も、当然、含みます。
 床は、できれば頑丈なところを選んでください。
 もちろん、そんなところまで、選択出来ない場合がほとんどだとは思います。
 椅子はしっかりしたものを選んでください。
 昔からあるピアノ用の背もたれ付きのイスは、高さも変えられて
使いやすいと思います。
 とくに重要なのは、イスの足にたいていはめてある、ゴムキャップについてです。
 このゴムは、取り外してください。
 せっかく堅く丈夫な床の上であっても、ゴムのせいで音が悪くなります。
 床と椅子が一体化している状態が最善です。
 ゴムキャップは椅子と、その上の人間と楽器の位置関係を不安定にします。
 音が濁り、クリアーな中高音がでません。

 ゴムをはずしたためにガタがが生じた場合、何か詰め物をして
すわりを良くするのなら、硬い目の材質のものを使ってください。
 あるいは、ゴムをはずすのをあきらめてください。

 ゴムを取り除くという手法による効果の大きさは、楽器によって異なります。
 もともと大音量の出る楽器の場合は、わずかな差異しか現れません。
 もっとも効果的なのは、小音量の弦楽器です。

  もっといい音を望む場合、”ゴムを取り去る”などという消極的な方法ではなく
    手間を惜しまず、大きな効果のある道具を使ってください。
  わたしの考案したものに、”その上で演奏するといい音が出る板”というのが
  あります。
  作り方を無償で公開する予定ですので、少し待ってください。
  どなたでも作れるように、特注部品を排したものにするつもりです。
  これを使うと、余韻の音の重なりまでが明瞭になり、音楽の楽しさの
  おいしいところを味わうことが出来ます。
 
 靴についても配慮が必要です。
 ウォーキングシューズ、スニーカー類はだめです。
 底の硬い靴がおすすめです。
 クラシックの人が、黒のぴかぴかの革靴を履いているのは、あれは正解です。
 革靴が嫌いなかたは、トレッキングシューズにしてください。

 さらに言えば、座ったときの壁からの距離についても、気をつけるべきです。
 決して、背面の壁に密着してはいけません。
 どんなときでも、80cmは離れるべきです。
 壁から反射してくる音が楽器から直接 前方へ出ていく音と干渉したとき、
その時間差が小さいと、音質を損ねるのです。
 


 コントラバスの演奏に関して、気になることがあります。
 「楽器からの音で床が振動して、足から伝わってくるのが気持ちいい。」
と、おっしゃる演奏者のかたが、案外多いのです。
 これは大きな間違いです。
 楽器からの音が、床に逃げてしまっているだけなのです。
 床を振動させているエネルギーは、本来は、空中を音響として飛び出して行くべき
ものです。
 足から振動を感じとれたときは、客席に伝わっているその楽器の音は、本来の音では
無くなってしまっていると考えるべきです。