2013年3月13日水曜日


 アコースティックな音楽を、お客として、いい音で聴くノウハウ
 
  生楽器の音楽というものは、演奏される場所をえらびます。
  全く同じ演奏をしても、どの演奏会場か、さらにそのなかのどの席かによっても、
耳に届く音は異なります。
  つまり、会場もまた、楽器の一部なのです。

 お客として音楽をじゅうぶん楽しもうと考えた場合、席をどう選ぶかが、ノウハウのほとんどすべてです。
 30人ぐらいの会場でも、1700人のホールでも共通なのは、まんなかの席は避けるということです。
 まんなかというのは、左右についてです。上手でも下手でもない位置です。
 とくに、狭い会場の場合、演奏者と背後の壁との距離が近い場合が多く、演奏者の真ん前にすわると、
 壁からの反射音との関係が最悪となります。
 左右どちらかにずれてください。
 楽器によって、音の出る方向があるので、それを考えて席を選んでください。
 なるべくなら、両サイドつまり左右の席が空席だと、音もさらによくなります。

 ピアノのコンサートの場合、鍵盤の見える席から埋まっていくのがふつうです。
 演奏者の手の動きを見たいという気持ちからです。
 しかし、ピアノがいい音で聞ける方向は、演奏者から見て右前45度ぐらいです。
 つまり、手の動きが見えない位置になります。
 どちらを選ぶか難しいところです。 わたしの場合は、音さえ素晴らしければ満足です。

 席はその下の床が頑丈であることが、音質の点で重要です。
 ホールによっては、オーケストラボックスを作る必要上、あるいは他の理由で、前のほう数列の席の床が、
 うしろのと違っているところが多くあります。
 大阪国際交流センターのホールでは、最前列から3列目までがそうであり、いずみホールでは最前列のみがそうです。
 京都芸術劇場の大劇場は最前列から4列目までです。 床の下が空洞です。
 判断するのが難しいかもしれませんが、前のほうの、そういう悪い席は避けてください。
 耳を澄ませてみると、周囲の騒音の音色が違って聞こえるので判別できます。
  もし聞き分けられない方は、いまいちど集中力を高めて試してください。
 
 京都の上桂にあるホール、バロックザールでは、席の床はへなへなで、通路の床は頑丈で、もしも通路に立って
 聴くことが許されるのなら、それがいちばんです。できないことですが。